たくさんの葉っぱで傘をさすように

音楽が好きな小児科医です。

言葉っておもしろい

こどもは言葉を話すようになっても上手に使えない。
「かんしゃく」はこうした、「想い」を表現できないもどかしさから起こる。


それを見ている親は困ることも多い。
大目に見れる部分ばかり、ではない。


このとき、こどもの気持ちを親が代弁することでその場は落ち着くことが多い。
こどもは親に理解してもらえてる嬉しさや安心感、言葉の正しい使い方を学び、
親はまた、こどもを理解しようと見守る。


言葉って面白い。
「システムズアプローチ」とは物事をシステムとして考える、という方法で、
臨床心理学では物事=家族として考える。
骨組み、IN/OUT、重い軽い、厚み、など、、
一家の大黒柱、の考え方に似ている。けどもっと細分化して捉えやすい状態になる。


小学生のとき、きいろ、おれんじ、と思っていた色えんぴつが
24色の色鉛筆になったとたん、そこにはおうどいろ、うすきいろ、ふじいろ、と
初めて見る名前が並んでいて、中でも ふじいろ をえらく気に入った覚えがある。


いままで見えてこなかったものが見える。
言葉は心にどんな風に影響を与えているんだろう。

急に苦しくなった

ので、ここに吐き散らかすことにした。


いくら勉強しても、亡くなった命が戻ることはない。
目に焼き付いたあの日の光景を、後悔を、一番の私の気持ちの原点を、
初心を忘れずにと念じるたびに、
何度も何度も思い出しているあの景色を
気持ちを
どれだけ思って、進んでも
届かない。戻らない。


もう二度と起こさないように。急変対応できる人であれるように。
それを目指すことが、私を後悔から救ってくれる階段と思って
踏み出したこの道を進んでいるけど
進んでるのかわからないし、わからないことはたくさんあるし
何度も思い出した景色は
何回考えても、どうしたって
取り返しがつかない。あのとき、こうしていれば。


英会話のオンラインレッスンで
what is your biggest motivative thing? と聞かれたことがきっかけで
溢れたこの気持ちはすごく深くて、登って帰ってこられない気がして
母とか友達に電話しようかと思ったけど
話したところで解決できない。
乗り越え方は自分で見つけるもんでしょ。そんなん聞かれても困るでしょ。
そう思うと憚られて、でも苦しくて
ここならいいかな、少し時間が経って冷静になった自分が、その答えを教えてくれるかな。
そう思って記録しておこうと思った。


11年が経って、ちっとも癒えていない。どころか、膨らんでいる。
お手紙、書いてみようかな。


そう思うと、私は医者になりたかったわけではないのかもしれない。
私は知りたかった。死戦期呼吸を。
AEDが必要なときはいつなのかを。


死戦期呼吸は一見呼吸をしているように見えても、酸素運搬ができてなくて苦しい状態。不整脈による急性心不全や大動脈解離・脳出血などの急激な痛みなど、とにかく超緊急事態でうまく呼吸ができない時に起こる、失調呼吸のこと。


AEDは意識が悪くなった人はみんなつけてほしい。


「熱いから熱中症」と決めつけてはいけない。最悪の事態を考えて行動すること。
最悪の事態は、心臓の異常、脳の異常、血管の異常。


何度も実戦して、こんなこと考えられるようになった。
考えられないことが、どういうことかわからなくなった。
けど普通は考えられないもんなんだと思う。だからそうだったんだと思う。


私はどこに向かっていこうか。
未来の私は今日の私を助けてくれる。だから大丈夫。

写真 VS 文字

美容師さんはすごいと思う。
予約を取って、その場で希望を聞いて、施術内容を考えて
それなのに時間通りに終わる。
医療に通じるものがあると、私は勝手に思っている。


床屋の孫である私はサインポールが身近な存在だった。
白赤白青が順番に、永遠に、くるくるしている。
色の由来、知ってますか?
白は包帯、赤は動脈、青は静脈。ハサミ、つまり刃物を人に向ける職業として、医療と床屋は近い存在だったそうな。


そんな美容師さんが言ってた一言が気に入ったので書き留める。
急に1泊2日の休みができたのに、行先を決められない私。どこを見ても、そそられるスポットが無く、せっかく旅館とか行けるのに、、
「僕は写真は見ません。文字だけで行きたいところを決めて、想像して、見に行く。写真で満足しちゃうから」
たしかに、インスタを代表として、最近はなんでも写真がついているのが当たり前。
情報が欲しいのに、悩んでるポーズの外国人とか、適当なマカロンのイメージ図とか、何でも画像がついて回っている。そうイメージ付けるように暗示かけられている。
それが広告料であり、いま流行りの商売である。


そう思うと、本の魅力にこの歳になって気がついた。
出かけるときは薄い本を持ち歩いていた手が、前より軽やかにページをめくるようになった。


百聞は一見に如かず。
その一見を手のひらの画面で終わらせてしまうのはもったいない。
文字を大切にしたい、そう思った文化の日でした。